内容☺︎
ミュージカル女優、つかさのファンクラブを束ねる美知代。小学校の同級生の出現によって美知代の立場は危うくなっていく。美知代を脅かす彼女には、ある目的があった。つかさにあこがれを抱く、地味で冴えないむつ美。かつて人気を誇っていたが、最近ではオファーが減る一方のつかさ。それぞれに不満を抱えた三人の人生が交差し、動き出す。私の人生は私だけのもの。直木賞作家朝井リョウが、初めて社会人を主人公に描く野心作!
第1章 スペードの3
第2章 ハートの2
第3章 ダイヤのエース
感想☺︎
出てくる登場人物は同じなのに、話ごとに主人公が変わっていくお話でした。同じ出来事でも、誰の視点で見るかによってこんなにも見え方が違うんだなと感じて、読んでいて面白かったです。
それぞれの人物が、自分の立場や価値観の中で物事を捉えていて、「正しい・間違い」ではなく、それぞれにとっての現実があるんだなと思いました。だからこそ、一人のキャラクターを別の角度から見たときに、印象が少し変わったりするのも興味深かったです。
特に印象に残ったのは、登場人物たちの微妙な距離感や、表に出さない感情のリアルさ。
その中で、愛季の存在も気になりました。物語の中心にいながら、彼女自身の視点は描かれていなかったので、もし愛季が主人公の話があったらどんなふうに世界が見えていたのか、と想像がふくらみます。きっとまた全然違う印象の物語になるんだろうなと思いました。
一つの物語をいろんな角度から見ることで、人の見え方や関係性がこんなにも変わるということを実感できる作品でした。


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