静かな表紙の奥に潜むもの『蟻の棲み家』

ミステリー
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蟻の棲み家 (新潮文庫) [ 望月 諒子 ]
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内容☺︎

東京都中野区で、若い女性の遺体が相次いで発見された。二人とも射殺だった。フリーの事件記者の木部美智子は、かねてから追っていた企業恐喝事件と、この連続殺人事件の間に意外なつながりがあることに気がつく。やがて、第三の殺人を予告する脅迫状が届き、事件は大きく動き出す……。貧困の連鎖と崩壊した家族、目をそむけたくなる社会の暗部を、周到な仕掛けでえぐり出す傑作ノワール。

感想☺︎

友達に貸してもらった一冊でしたが、正直に言うと、最初は表紙を見てもあまり惹かれませんでした。

どちらかというと静かな物語なのかな、という印象で、「時間があるときに読もう」くらいの気持ちで読み始めました。

ところが、ページをめくるごとに少しずつ引き込まれていき、気づけば先の展開が気になって止まらなくなっていました。

今後どうなるのか、本当の犯人は誰なのか。

おそらくこの人だろう、と思い当たる人物はいるのですが、それでも不思議と嫌いになれない。

善悪では割り切れない人間の複雑さが描かれていて、そこがとても印象に残りました。

登場人物たちの言動や空気感がじわじわと効いてきて、読み進めるほどに物語の奥行きが増していく感覚があります。

考えながら読むのに、読む手は止まらず、結果的に一気読みでした。

読み終えたあと、最初に抱いていた表紙からの印象を思い返し、「本はやはり読んでみないとわからない」と改めて感じました。

静かだけれど、確実に心に残る一冊です。

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