内容☺︎
ルミニエル座の俳優アーロウには双子の兄がいた。天才として名高い兄・リーアンに、特権階級の演出家から戯曲執筆依頼が届く。選んだ題材は、隠されたレーエンデの英雄。彼の真実を知るため、二人は旅に出る。果てまで延びる鉄道、焼きはらわれた森林、差別に慣れた人々。母に捨てられた双子が愛を見つけるとき、世界は動く。
感想☺︎
『レーエンデ国物語 喝采か沈黙か』を読み終えて、まず感じたのは「戦い方が変わった」ということでした。
これまで武器をとって戦う姿が描かれてきたけれど、今回はそれとは違うアプローチ。戦いを「別の形」で挑む姿勢に、大きな変化を感じました。
作中で出てくる「犠牲法」という法律。前作でなぜルーチェがそれを作ったのか、その真意は何なのか…読み終えてもまだ謎が残っています。
ただ、この巻だけを読もうとすると難しい部分があると思います。前作の出来事や人々の歩みを理解していないと、今回の展開や人物の選択の重みが十分に伝わらないと感じました。
物語の中ではいつも誰かが亡くなってしまい、どうしても重い気持ちになります。でもその犠牲の先に、世界が少しずつでも良い方向へ変わっていっているのではないか、と希望を持たせてくれる瞬間もありました。
悲しさと希望の両方を抱えながら読み進めることになる、そんな巻だったと思います。

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