懐かしさと温もりに包まれる ― 吉本ばななさん『キッチン』を再読して

小説
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キッチン (新潮文庫 新潮文庫) [ 吉本 ばなな ]
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内容☺︎

私がこの世でいちばん好きな場所は台所だと思うー祖母の死、突然の奇妙な同居、不自然であり、自然な日常を、まっすぐな感覚で受けとめ人が死ぬことそして生きることを、世界が不思議な調和にみちていることを、淋しさと優しさの交錯の中であなたに語りかけ、国境も時もこえて読みつがれるロング・ベストセラー、待望の定本決定版。“吉本ばなな”のすべてはここから始まった。

感想☺︎

久しぶりに吉本ばななさんの『キッチン』を読み返しました。

物語の中には、大切な人を亡くすという悲しみや喪失感が描かれています。でも、その悲しみの奥にある温もりや、人と人との優しいつながりが心に残りました。

印象的だったのは、携帯電話がない時代の描写。

連絡は家の固定電話を通して、旅先ではホテルの受付から電話をつないでもらう――そんなやりとりが今では新鮮に感じられます。画面越しのやりとりではなく、声や存在感を通じてつながる時間が、作品全体の温かさをいっそう引き立てていました。

読み終えたあと、胸の奥がじんわりとあたたまり、少し昔の空気に触れたような不思議な安心感が残る一冊でした。

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