武器を置いて挑む戦い ― 『レーエンデ国物語 喝采か沈黙か』を読んで

小説
[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

レーエンデ国物語 喝采か沈黙か [ 多崎 礼 ]
価格:2,090円(税込、送料無料) (2025/9/15時点)


内容☺︎

ルミニエル座の俳優アーロウには双子の兄がいた。天才として名高い兄・リーアンに、特権階級の演出家から戯曲執筆依頼が届く。選んだ題材は、隠されたレーエンデの英雄。彼の真実を知るため、二人は旅に出る。果てまで延びる鉄道、焼きはらわれた森林、差別に慣れた人々。母に捨てられた双子が愛を見つけるとき、世界は動く。

感想☺︎

『レーエンデ国物語 喝采か沈黙か』を読み終えて、まず感じたのは「戦い方が変わった」ということでした。

これまで武器をとって戦う姿が描かれてきたけれど、今回はそれとは違うアプローチ。戦いを「別の形」で挑む姿勢に、大きな変化を感じました。

作中で出てくる「犠牲法」という法律。前作でなぜルーチェがそれを作ったのか、その真意は何なのか…読み終えてもまだ謎が残っています。

ただ、この巻だけを読もうとすると難しい部分があると思います。前作の出来事や人々の歩みを理解していないと、今回の展開や人物の選択の重みが十分に伝わらないと感じました。

物語の中ではいつも誰かが亡くなってしまい、どうしても重い気持ちになります。でもその犠牲の先に、世界が少しずつでも良い方向へ変わっていっているのではないか、と希望を持たせてくれる瞬間もありました。

悲しさと希望の両方を抱えながら読み進めることになる、そんな巻だったと思います。

コメント

タイトルとURLをコピーしました