内容☺︎
1920年、中国。北京在住で日本人絵師の一条剛は、紫禁城に住む廃帝・溥儀に水墨画の師として雇われた。しかし溥儀には、城に眠る水墨画を贋作にすり替えて真作を秘密裏に売却し、清朝復興のための資金を調達する目的があったのだったーー。
使用人の宦官のひとりが密室で不審死を遂げた事件を皮切りに、龍の絵に何者かの手で描き加えられていた目、ある時を境に感情をなくした宦官など、一条はさまざまな謎を少年廃帝とともに解き明かすことになる。立場を超え、ふたりの間には徐々に友情が芽生えていくが……。
感想☺︎
正直に言うと、後半に入るまでは「よくあるタイプの謎解きものかな?」という印象でした。
もちろん普通に面白い。
ストーリーもテンポよく進むし、謎もきちんと作り込まれている。
でも、「すごく斬新!」というよりは、王道の安心感があるタイプ。
ただひとつ気になったのは、登場人物の名前。
似たような響きの名前が多くて、最初は少し混乱しました。
「あれ、この人誰だっけ?」と何度かページを戻ることも。
でも――
後半に入ってからの展開がすごかった。
秘密が、あまりにもさらっと明かされるんです。
えっ?そういうことだったの?
頭の中で点と点が一気につながる感覚。
それまで“普通の謎解き”だと思って読んでいた物語が、まったく別の顔を見せる瞬間でした。
大げさな演出ではなく、静かに、でも確実に価値観をひっくり返してくる。
前半の「まあ面白いかな」という気持ちが、最後には「やられた…!」に変わりました。
これはぜひ、何も知らずに読んでほしい一冊です。


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